【木村洋介(弐段)レポート】

三月いっぱいで一旦奈良支部を退会した、木村洋介(弐段)より師範宛にお手紙が届きました。


 押忍。
 この度は、急に私の就職が決まったことで、秦師範をはじめ、西先生、分支部長、事務局の方々、道場生のみなさんに突然の報告になってしまったことを、大変申し訳なく思っています。本当にすみません。

 思えば、私が極真会館奈良支部北和本部道場に入門したのが小学2年生のときでした。
 その当時の少年部は、5・6名くらいの人数で、事務局も北和道場にあり、そのときの秦師範は本当に鬼のように恐く、よく怒られて泣いてばかりいました。何度も何度もやめたいと思ったことも多々ありました。
 しかし、稽古が終わると優しく接していただき、とてもうれしかった記憶があります。
 その後、弱かった私にも後輩が増えていき、中学生になると同時に秦師範から、『君たち、初段を受けなさい。』と言って頂いたときは、とてもうれしかったのと同時にとても不安と緊張があったのを覚えています。
 そして、初段合格もして、秦師範から直接黒帯を頂いたときは、本当にうれしくて、家で宝物にしていたものです。ありがとうございました。
 ここで一つ忘れられないことがあります。
 今の少年部たちが帯をどう思っているかはわからないですが、秦師範は少年部であった私たちに仰ったのが、『帯には魂が入っているんだぞ。その魂の入った帯を大切に使うんだぞ。』と言っていただいた一言は、少年部ながら私にも記憶にしっかり残っています。
 そして、中学生になり、一般部になったときも、秦師範に直接指導して頂き、高校に合格したときも、当時いた仲間とにんにくやで合格祝いをしていただいたこともありました。本当にうれしくて感謝の気持ちでいっぱいです。
 高校一年生の時に、秦師範から週一回あるチャンピオンクラスに来てもいいと言ってくださり、細かった私は、先輩や体重の重い人にボコボコにされてよく高校生なのに泣いていたものです。しかし、強くなるためには仕方がないことでしたし、私は本当にイヤでイヤで仕方がなかったのですが、何とか頑張れたと思っています。それは、やはりなんといっても秦師範の支えがあったからです。
小・中学生と一度も試合で優勝したことがなかった私が、一般の大会で初優勝することができたときは、『努力すればできるんだ』ということも少しは理解し、秦師範も喜んでくださったことがとてもうれしかったです。そのときぐらいから、空手が楽しくてのめり込んでいき、毎日稽古に指導もさせてもらい、きつくも充実した日々を過ごせていたんだと思っています。
 その頃から、秦師範が一緒にお食事に連れて行ってくださるようになり、焼肉や王将などに連れて行ってもらったときは、その食事の量に驚き、開いた口が塞がらないほどすごく、秦師範は食事の度に、『食べるのも稽古なんだぞ。たくさん食べて体を大きくしなさい。』と言っていただいたのも忘れられません。今までに色々なところに連れて行ってもらったことは、本当に感謝の気持ちしかないし、食べているときは、正直、地獄のような気分になっていましたが、本当に幸せでした。ありがとうございました。
 また、大学生になったときには、秦師範とマンツーマンでウエイトトレーニングをしたり、プロテインのお話や加圧のお話、もう数え切れないほど色々なお話を聞かせてもらったこと全てが、自分には勉強になりました。
 全日本ウエイト制大会や、全日本大会にも出場させていただき、秦師範の厳しい稽古も受けさせていただき、また選手としてではなく、行事や試合のお手伝いや他支部の支部長や先生方たちとのお食事、世界大会と関東地区の強化稽古にも秦師範から遠征費までいただき、他の人には経験できないことをさせていただき、本当にありがとうございました。
 私は極真空手、そして秦師範に出会っていなければ、今の私はないと思っています。本当に私は幸せな奴です。
 秦師範の一つ一つのお言葉や指導、考え方など、全てが先ほども述べましたが、私には勉強になり、頑張るという気持ち、モチベーションが上がっていました。
 秦師範との約16年間は、本当に長いようであっという間だったように思います。今、この文章を書いているのですが、秦師範とのたくさんの思い出が鮮明に思い出され、目頭が熱くなっています。
 私も4月から社会人として新たにスタートするのですが、秦師範に教えていただいたことを胸に、頑張って働き、立派な社会人になろうと思っています。そして、迷惑をかけ、ここまで育ててくれた両親にまずは親孝行をし、そして秦師範には、私が働いたお金で食事にお誘いしたいと思っています。
 半年間は空手から少し離れないといけないのですが、また勤務先などがわかり次第、ご報告に行かせていただきます。
 また時間があれば、秦師範のご指導の方、宜しくお願いいたします。
 
 最後になりましたが、約16年間、私を見守り、成長させてくださった秦師範、本当にありがとうございました。
                                         押忍。

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